晴れときどきお天気雨 (ぱれっと)


総合:85    シナリオ:8 キャラ:8 音楽:10 絵:9 システム:8  お気に入り:
山上絢音


――この街に “神様” がやって来る。主人公・春日井祐也の暮らす小さな街は、そんな噂で持ちきりでした。
とはいえ、別にそれほど珍しい話ではありません。
一説によれば、全国に一万人近くの “神様” がいると言われているこの世界――。
不思議な力を持つだけで、普通の人とほとんど変わらない “神様” たちは、その “奇跡” の力を活かして物の怪退治みたいなお仕事をあちらこちらでやっているのです。
それでもやっぱり、“神様” は “神様” です。頼めば “願い事” を叶えてくれるという話もあって、小さな街は歓迎ムードで盛り上がっていました。駅前で新しい “神様” をお出迎えするというイベントに、祐也も参加していました。
祐也の場合、歓迎しているからというよりは、“神様” が転校してくる予定の学園の、生徒会の役員だからという理由だけなのですが――――ともあれ、ついに “神様” は姿を現します。
駅の改札口からではなく、何故か空高くから、祐也の頭の上にパンツも丸見せで落ちてくるという格好で。
かくして始まったのは、新米の頼りないドジっ娘 “神様” と、ちょっぴり無愛想な少年の、おかしな関係。
「……願い事って、どうやって叶えるんでしょう?」






シナリオ:8


ましろ色シンフォニーがアニメ化され、一躍メジャーブランドとなったぱれっとのNYAON×くすくすコンビが贈る、神様のいるちょっと不思議な世界のお話。

もしらば、さくらッセと、NYAON氏の作品はなんてことのないごく平凡な日常の中に‘幽霊‘や‘魔女‘といった非日常を絡ませて世界観を作り上げるが不定に上手く、個人的に超が付くほど好きなのですが、
今作でも神様という存在が自己主張しすぎることもなくいい塩梅でシナリオに絡んできていたと思います。
またそれに加えて言霊思想やアヤカシといった和風伝記っぽい雰囲気も好みでして、発売前から期待は高まる一方だったのですが、十分期待に応えてくれました。

そして毎度おなじみNYAON的主人公にヒロインも健在
そういったキャラクターの持つ幼さ(言ってしまえばウザさ)をどこまで許容できるかで大きく評価が変わる、所謂人を選ぶゲームだと思いますw


本作ではいわゆるヒロイン脱落方式(有名どころだとG線やユースティアみたいな感じ)でお話が進んでいき、絢音⇒水希⇒なずな⇒香奈恵の順のルート構成になっています。

本作においてこの方式がマッチしていたというと、少し悩みどころ・・・。というのも功罪どちらの要素もあるんで諸手を挙げて良かった!と言えないんですよね。

まずマイナスポイントのほうから。章末でヒロイン√に入るかフラグをへし折るかの選択肢が与えられるのですが、その選択が辛いのなんの・・・

何が問題かというと、選択肢より手前で(つまり共通ルート中で)凡作エロゲの個別√に十分匹敵するヤマ場があるので、それを解決すると当然プレイヤーとしてはそのヒロインへ好印象を持ちます。
そこでヒロインと結ばれるかフるかの選択を迫られるので、選ぶ側としてはヒロインが気に入っていてればいるほど辛いというジレンマに陥ります
これが3ヒロイン分続くというね・・・正直プレイしていてかなり辛かった。。罪悪感がすごいです。

しかもこのヒロインが全員生徒会メンバーに属しており、フラれたキャラがドロップアウトして以後出てこなくなるという事もないのでどことなく気まずい雰囲気が日常的にあり、
ゲーム全体を晴れどころか曇天のような印象にさせてしまっていたようにと思います。

一方利点はというと、香奈恵√への導入、というか説得力でしょうか。
香奈恵ルートでは最初にいきなりBADエンドに直行して唖然としますが、その原因として3人もの可愛い女の子を振り続けてきた主人公があまりにもヘタレで甲斐性無しだった事を考えれば思わず納得してしまいますw

またヒロインが主人公にフラれた後の様子も遠慮なく描かれる、と言うのが珍しく、見ていて面白い、と言うのとは違うのですが興味深かったですね。
水希とかは特に心が痛みます・・・

フラれた後の主人公への接し方の変化とかには各キャラクターの性格がすごくあらわれていたように感じました。


因みに香奈恵ルートがいわゆるトゥルーED扱いなのですが、本作では他のトゥルーEDを擁する作品(直近だと未来ノスタルジア等)では大抵「トゥルー√でしかメインヒロインが救われ無い」という展開になりがちですが、
本作では香奈恵を選ばなかった場合でもさほど気に病む必要がないのは素晴らしいですね・・・
おかげでトゥルールート以外に進んだ場合でも特に気にせず幸せな雰囲気を満喫できます。

さて肝心のシナリオ内容ですが、とりあえず香奈恵ルートはボロ泣きしました。詳しくは下で語るとして、間違いなく今年一番泣いたんじゃないかなw
彼女のルートが頭一つ飛びぬけていて、その次になずな、水希、絢音と続く感じでしょうか。
偶然にも最近プレイした未来ノスタルジアとどことなく似たような話でしたが、やはりああいうのには弱いです。。


基本的に日常は割と冗長で、特にギャグが光ったりや萌え萌えな展開になるわけではないですが、なずなを中心とした生徒会メンバーの雰囲気はとてもいいです。・・・最初はw
前述の理由で段々ギスギスしていくのですが、それでも個別√に入っても主要なキャラはほぼ全員出てきて冷やかしたりやっかんだりしてくるところはナイスです。


それと一番気になっていたところなのですが各ヒロインの話で、神様や超常の力はお話のあくまでスパイスであり、本質的にはヒロインの抱える心の問題だった点は評価すべきだと思います。
非日常を描く作品だとそれによる不条理をついついヒロインに与えがちですが、本作ではそれがヒロインの心情で丁寧に理由付けされていたため超展開のような違和感を感じたりはしなかったです。
ただその観点からだと香奈恵ルートだけが他の3人に比べて若干突飛な展開だったため、むしろ違和感を感じてしまったという・・・。。


ヤマを乗り越えてヒロインの個別シナリオに入ったところでまた中々の問題が生じてそう簡単に終わらせてくれません。
イチャラブはそれなりにありますが個人的にはちょっと物足りない印象。

えちぃは香奈恵が4回に他のヒロインが各3回。しかも回数こそこなしますが主人公がソーロー君なため尺も短い。
描写もあっさりですし、ヒロインは4人だけなのにシナリオゲーだという事を考えてもえちぃは薄めです。
やはりこれはもう是非FDを作ってもらうしか・・・!!


プレイ時間は各ヒロイン個別が各3〜4時間程度、共通が20時間程で大体35時間程度でしょうか。
ぱれっとのスタッフの方が過去最高ボリュームと言ってただけあって中々のものでした。


おすすめ攻略順ですが、ヒロインの離脱順通り絢音⇒水希⇒なずな⇒香奈恵が順当だと思います。感動の余韻をもって終われます。
ただ香奈恵を最後にプレイするのが必須のように推奨されているようですが、彼女が選ばれなくても救われない、というわけではないので個人的には好きなヒロインを最後に回すのもありかと。

・・・ところで今気づいたんですが、攻略順がちゃんと貧乳⇒巨乳⇒貧乳⇒巨乳ってなってるじゃないですか!!
これは巨乳好きもちっぱい好きも安心して楽しめるようにと言うNYAON氏の配慮に違いない―――!





キャラ:8



稲乃神 香奈恵

主人公のクラスに転入してきた新米の神様。
霊力も乏しいため周囲の期待に応えられず、使えない神様の烙印を押されてしまう残念な子です。
一言でいうと結構なポンコツで(褒め言葉)、メインヒロインで転校生で神様という本来ならすごく厚遇されるポジションながらみんなから残念な子扱いされたり、終いには自虐に走りだすのが新鮮でしたねw

最初はそれほど好きじゃないタイプの子だなーなんて思ってましたが、主人公が好きなのにも関わらず、結ばれなかった時には嫌な顔一つせずに他の子を応援してあげるといった彼女の健気さを見ているうちにどんどん好きになっていきましたね。
昨今見ないような控え目で気配りのできる子です。それがアダとなる場面も多々あるのですが・・・。
そして香奈恵のそういった優しさに触れてから訪れる彼女のルートでは涙なしでは見られない展開が・・・!

正直ラストの展開は読めましたし、あーこれは泣かせに来るなーと予感もありましたが・・・

普通に泣きましたとも、ええ・・・(ノ∀`)

やっぱり家族のああいった話には弱いですね。。

シナリオ欄でも書いたように他の3人に比べると唐突感は否めませんが、主人公のダメっぷりと香奈恵の控え目を考えると十分あり得る未来だからなぁ・・・w
とりあえず√で突然出てくるあの子は反則です。可愛すぎました。

EDのCGは本当に良いですね!3人の前に幸せな未来が待っていますように―――!




春日井 なずな

主人公の2つ下の妹で、御凪学園の一年生。
かつて巻き込まれた交通事故の後遺症で、自力ではほとんど歩くことの出来ないというハンディを持ちながらも人一倍元気にふるまっている。

変態発言をしたり言動が完全にオッサンだったりと自他ともに認める変な妹。
なずなは煮え切らないヒロインの背中を押したり小姑っぷりを発揮したりと持ち前のお節介さを生かしてどのルートでも話に結構絡んできます。
それが結構深いところにまで絡んできたりもするので(特に絢音シナリオとか)、それをウザく感じてしまう人もいるかもしれないです。

共通の時点で兄妹のブラコン、シスコンっぷりがじっくり描かれていて見ていて微笑ましかったですね


彼女自身のシナリオは実の兄妹で結ばれるということへの背徳感と周囲からの軽蔑の目などが割とシリアスに描かれており、数ある実妹シナリオの中でもかなり良い出来だったと思います。

終盤呪いの話のせいでうやむやになってしまい結局まだ色々と解決していないのは残念ですが、ラストの歩き出すシーンはちょっと泣きそうになったりw
個人的にはすごく良い妹キャラだったと思います。

どうでもいいけどマジックハンドで起こすのって最初の1回だけなのねw・・・まぁあんなこと何度もされてたらあそこが潰れてしまいそうですがw



山上 絢音

人付き合いの苦手なもう一人の神様で、なずなの同級生。
最初はクールで人を寄せ付けない感じなのですが、共通ルートのうちに生徒会メンバーに懐柔されますw

プレイ前まで全く気にも留めてなかったのですが、デレてからの可愛さはもう反則級!!
緑髪にアタリ無しというジンクスをものの見事に吹き飛ばしてしまいました!緑神様最高や!!
というかあの流れで絢音をフれる奴はこの世にいないと思うんだ・・・。。

基本的に気遣いができる子なので彼女以外のシナリオでは真っ先にフられてしまうにもかかわらず主人公を密かに思い続ける姿に心が折れそうになります。。

そんな彼女のルートでは照れながらも恋人っぽいことをしようと頑張ってみたり、メールの返信が来ただけで喜んだりといった言動の一つ一つが可愛すぎてもうね・・・・・・。。
思わず脳が溶けてしまいそうでしたよHAHAHA



幸せそうな二人の様子を見ているだけでニヤニヤが止まりませんでしたw
しかも何気にえちぃにも積極的だし

眉がハの時に向いてるちょっと困ったような笑い顔が多かった気がしますが最後は幸せそうな二人の姿が見れてよかったです。





佐倉 水希

主人公の幼なじみにして同級生。性格は勝ち気で陽気、お節介で世話好きな元気娘。

個別シナリオでは見ていてこっちが恥ずかしくなるような作品随一のバカップルぶりを見せつけてくれたり、幼なじみポジションでありながら、多分一番好きになれない人が多そうな子です。
普段から洋食に過剰反応して突っかかってきたり、なんといってもなずなシナリオでのヒステリックともいえる振る舞いが不味すぎた。
話をこじらせて正直うっとおしいと思ってしまったこともしばしば(^_^;)

一番の幼なじみとしては真っ先に良き理解者となってあげるという展開も考えられないこともないだけにシナリオの割を食ってしまった面もあるとは思いますが。

個別シナリオは嫌いじゃなかっただけにそこは残念でした。






りん&ごん

ごんは、容姿・声・仕草など、どこをとっても女の子に見える。

だが男だ。

むしろりんよりも女らしい。

だが男だ!

巫女服が似合っている。

だが男だ!!




・・・てなわけでプレイするまでごんは真剣に女の子だと思ってましたとさw

あれだけ可愛ければ男の娘もありなんじゃ・・・と思ってしまい新たな境地に目覚めそうで怖いですww





その他

なずなシナリオでは琥太郎君に一瞬殺意すら覚えましたがいい奴過ぎてそんなこと思った自分が恥ずかしくなりましたw
あと「もしらば」から珠美さんがゲスト参戦しています。
もしらばの事を思わせる話がところどころに出てきて知ってるとムフリとできるかも知れないですが未プレイでも特に弊害はないですw




主人公:4


春日井 裕也

過去作をプレイ済みだったのでNYAON的主人公には慣れたつもりでいたのですが彼は予想をはるかに超えていました。

なずなにヘタレ認定されてましたが確かに彼こそまごう事なきヘタレでしたね。

ヒロイン離脱型というシナリオ構成なのでヒロインをフるときにヘタレてしまうのは仕方がないとしても、個別シナリオ中でもそのヘタれっぷりが如何なく発揮されます。
シナリオ序盤で絢音を仲間に引き入れるまでは「機転も効くしこの主人公やるじゃん!」とか思ってたんですが、一体どうしてこうなった・・・w

途中までは我慢できていたんですが、香奈恵やなずなにあそこまでさせておいて答えを出せないのはいくらなんでも酷すぎるだろ・・・と。

香奈恵、水希シナリオについても極論すると彼の優柔不断さが原因なのである意味自業自得とも思えてしまう。
これだけプレイしていて不快になる主人公は久々でした・・・。
みらろま以来かなぁ





音楽:10

ピアノをメインに使った落ち着いた曲が多いですがどれも素晴らしいクオリティ!
ヴォーカル込みで全35曲と非常に充実しています。

タイトル画面でかかる「朝焼けの空」や「氷結と心と」、「水平環」に「時雨心」あたりがお気に入り。
自己主張は少ないながらも良曲ぞろいです。

そしてなんと各ヒロイン毎に異なる挿入歌が入るという豪華っぷり!!
スタッフロールで最初見た時は驚きました。

OPの「花束」も含めてWHITE-LIPSの澄んだ歌声が心にしみます。
とくに各挿入歌は挿入される場面が素晴らしく、感動をより際立たせるのに一役買ってましたね!

絵:9

くすくす氏相変わらずいい仕事してますね〜。
どの子も非常に可愛いし、塗りもいつものぱれっとで安定してます。

何より後ろ向きの立ち絵を見ると「あぁ、ぱれっとのゲームなんだなぁ」と妙な実感がありますw

SD絵も特に違和感ありませんでしたし、発売前から話題になっていた騎馬戦のアレ以外は乱れもなく良かったと思いますw

・・・ところで各ヒロインがブルマ姿に水着姿をシナリオ中に披露してくれるのですが
それを使ったえちぃシーンがないのはどういう事ですか!?


絢音とか水着もエロ可愛すぎるのにあれはもったいな過ぎるだろおおおおおorz





システム他:8

ワイド非対応。
特に可もなく不可もなく、ごく一般的なコンフィグ。

エフェクトは表情、姿もコロコロ変わるし、桜や魔法の表現も素敵でした。

感情を表すアニメーションは進めない限り止まらないのはちょっと気になりましたがに見ていて楽しいですね。

シーンスキップとかも特にないですがあの選択肢の数だといらなかったので問題なし。
欲を言うと●章からスタート、みたいなのが欲しかった気はします。

画面のサイズを細かく設定できるのは液晶が多様化している現在では嬉しいところですね。



総評:85

全体として主に主人公のせいで晴れときどき雨、と言うよりはむしろ曇り時々晴れみたいな雰囲気が漂ってましたw

ましフォニーから入った普通の萌えゲーを期待しているであろう新規ファンからすると到底受け入れられないような作品だったんじゃないかと思いますが、やはりNYAON氏はこうでないとw

個人的にはぱれっと、と言うとこのラインの印象が強いのでこの路線で進めていってほしいですね。

あ、でもその前に絢音様と水着でイチャイチャできるFDを早く作ってくださいお願いしますっ(真顔


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