Rewrite (key)



総合:90    シナリオ:9 キャラ:9 音楽:9 絵:8 システム:8  お気に入り:中津静流




―――書き換えることが出来るだろうか。彼女の、その運命を。








だーまえが引退宣言をしてから初の鍵作品。しかもライター陣に田中ロミオと竜騎士の姿がある・・・だと―――!?

という事で期待と同時に不安も非常に大きかったのですが、いざ終わってみると素直にプレイして良かったと思える名作でした。

ただやはりかつての鍵作品とは大きく毛色が違うので、いつもの泣きゲーを期待すると呆然とするかもしれません。

シナリオ:9


物語は主人公、天王寺瑚太朗が気の合う仲間たちとオカルト研究会の活動をするが、とある事件がきっかけでオカ研は崩壊してしまい、仲間たちは決別してしまう。
そんな壊れてしまった日常を取り戻すための方法を模索するうちにガイアとガーディアンという地球規模の戦いに巻き込まれてゆく・・・というのが大筋です。


まず最初に鍵作品の醍醐味ともいえる共通ルートのですが、正直期待していた程面白くなかったです。
決してつまらないというわけではなかったのですが、面白くなかった、というより過去作には及ばないというのが正しいです。
何とかリトバスやクラナドの雰囲気を出そうとしてるのかな・・・と思えるような雰囲気はあったのですが、ロミオにしろ竜騎士にしろそういうのを得意とするライターさんじゃないですしね。
リライトの後にリトバスやり直したんですが、改めてだーまえのGAGセンスの良さを実感できますw

ですがリトバスで致命的だった個別ルートのつまらなさは完全に克服されてました。
どのキャラのシナリオも非常に完成度が高く、読みごたえがあって面白かったです。

複数ライターの弊害、というよりも竜騎士の暴走により一部シナリオでキャラクターが変だったりもしますが、そのルートも含めて楽しめました。

また意外だったのが、鍵作品のウリである?安易な奇跡でハッピーエンドに持って行くことをしなかったのも、世界観や状況にあっていて、ブランドイメージを損ないかねない賭けともいえる英断は評価できると思います。


そして何より、個別√クリア後のMoon編とTerra編の熱さは半端ないっ!!!

上に貼っている2ndOPが流れた時とかはヤバかったですね。クオリティやばい。
しかもよく見てみるとアニメで再現されているのは実は今までの共通ルートで体験してきた出来事だときづいた時には鳥肌ものでした。

Moon編ではキーパーソンでありながらそれまで出番が少なかった篝との交流に思わず頬がにやけましたし、Terra編では今までの伏線が見事に回収されていく様は圧巻です。
そして真ED・・・言葉少なくも、色々と感じるところのあるムービーは素晴らしいの一言。プレイ後に来る余韻と寂寥感は流石。

ただ残念なのはTerra編ではヒロインたちの出番がほとんどないことでしょうか・・・。
物語上仕方ないことなんですが、最後にはヒロインみんな登場して大活躍!といったありきたりな展開を想像していたので少ししょんぼりしました。
とはいえ個別がしっかりしていたのと、主人公に加え篝やサブキャラの勇姿が見れたのでそこまで不満はないです。

ところでパッケージが手元にある方はちょっと眺めてみてください。何が見えますか?
大樹に寄り添うように立つ6人の女の子?
ならもうちょっと遠くから眺めてみてください。
あれ?よく見るとパッケ絵のほとんどが緑で構成されてますね。
実はこのパッケ絵が表すようにRewriteの大きなテーマの一つとして環境問題が含まれてます。それもシナリオの味付け程度でなく、根幹にかかわる問題として。
プレイするまで全く気にしてませんでしたがw
環境問題に始まり、人類が生き残る道の模索や地球規模の戦いなど一見非常に大きなテーマで描かれてますが、一方で瑚太郎が人間として生きるために不器用ながら人との繋がりを求めていく姿が内包されており、より引き立てられていた気がします。

プレイ時間は40時間程度かな。
共通辺りは中だるみを感じたりもしますが、個別後半やMoon、Terra編になってからは一気に読めてしまいました。


ちなみに真EDを見た後でリトバスの筋肉EDのようなのが解放されるんですが、それは本当に笑えて最高でした。
到達するまでのマッピーは苦痛でしかなかったですが、それだけの価値はあります。
とりあえずクリーミィ☆かがりん連載はまだですか?ww



オカ研はある事件がきっかけで解散せざるを得なくなってしまう。失った日常を取り戻すため瑚太朗は――。



キャラ:9


keyらしいどこかしら飛びぬけたキャラクターたちが、ロミオらしい不器用で不安定な人間関係を築く・・・。

各キャラの性格にはそんな素敵な化学反応が起こってたように思います。

神戸 小鳥

瑚太朗の大親友。どこかオッサンのような独特のノリとしゃべり方は声優さんの演技もありすごく印象深いです。

普段は全く外には出さないが、色々と壮絶なものを抱えており、彼女の個別ルートでは見ていてつらいシーンもあります。
特に最後の瑚太朗を助けようとするシーンは声優さんの頑張りもあって思わずもらい泣きしそうになりました。両親の出発もヤバかったです。

瑚太朗とは親友でありながらもどことなく突き放すようなそぶりをするのですが、その微妙な距離感の描き方が上手く、またその理由を知った時彼女の孤独と葛藤を思うと胸が痛くなります。

段々と明かされる設定や伏線にワクワクするのですが、同時に謎の部分も多く、若干消化不良気味ですが、希望を感じさせる終わり方でよかったなと思います。

またヒロインズの中では数少ないTerra編で活躍する人物です。
まだ気難しい素直になれないロリっ子ですが、心の中では瑚太朗の事を大切に思っているのが丸わかりで、思わずニヤニヤすること請け合いですw




鳳 ちはや
 

瑚太朗の通う学校に突然転校してきた少女。

世間知らずの箱入り娘で、初登場から木に引っ掛かるほど極度のドジっ娘。

瑚太朗に対し反発しながらもどこか好意が見え隠れするというテンプレなツンデレ娘が可愛くないわけがない!

そんな彼女のシナリオはバトルのオンパレード。
あまり難しく考えないちはやのせいもあってか?組織とか鍵とか言った難しい話よりもどんどん強大になる敵に立ち向かう話でした。

ちはや自身魅力的なんですが、どちらかというと彼女の付き人的存在である咲夜がものすごくかっこよかったので、彼に持って行かれてしまった印象は強いですw

ぎるぱにの頑張りもすごく感動しました。てか他のシナリオでも活躍させてあげればいいのに・・・。




ちはやの可愛さはもちろんのこと、咲夜のかっこよさが際立つ




千里 朱音

「学園の魔女」 と噂されるオカルト研究会の部長。

その実態は・・・何をするにもめんどくさそうな引きこもりでしたw

一見すごく博識で達観しているような彼女ですがどこか抜けている部分もあり、瑚太朗のもってきたネタを論破できず悔しそうにぐぬぅと唸ったり、焦って取り繕うシーンはすごく可愛いです。

シナリオでは彼女のガイアにおける立場のせいで暗い話が多く、ラブイチャも少ないのは残念です。

終盤の展開に落下点が見いだせず、いったいどのように終わらせるのか気になってしょうが無かったですが、朱音に生きる意志を持たせ、さらに聖女の罪を償わせるというあの展開は本当に素晴らしく、脱帽ものでした。
個別シナリオでは間違いなく最高の出来でしょう。

あと一般ゲーにも関わらずおっぱいが揉めますwおっぱいわっしょい!




中津 静流

主人公の後輩で、フーキーンこと風紀委員会に所属している、無口で素直な女の子。

序盤から瑚太朗への好意全開で、口に出さずともその好意が伝わってきて萌えずにはいられません。
見かけたら駆け寄ってくる様子がわんこみたいですごく可愛らしいですしね。

オッドアイを見られたくないのか眼帯をしているのですが、製作段階からなぜか隠す気ゼロだったのであまり新鮮さはなかったですね・・・。
シナリオ中でもそれほど生かされて無かったし。まぁ可愛いからいいんだけど

静流自身のシナリオは一番従来の鍵作品っぽかった印象。
実際日記のシーンなどはウルっときそうでしたが、少し展開が早かったのもあってかそこまで至らず。
もう少し描写やCGを増やしてもうひと押しあれば泣けたであろうに・・・残念。

でもED曲とかは反則だと思います(褒め言葉

ちなみに静流は作中でもトップクラスの戦闘力を持つのですが、それが彼女のシナリオ中であまり生きてなかったのは残念でしたね。
静流の勇姿と友達を思う性格はむしろMoon編とルチアルートでこそ輝いていた気がします。





此花ルチア

潔癖症なクラス委員長。

序盤は絡みも少なく微妙でしたが、個別に入ってからのラブイチャ度は半端なかったです。
KAZAMOにデートに行くシーン辺りはその絶頂で、もう見ているこっちが恥ずかしくなるぐらいラブラブします。

ただ彼女のシナリオだけライター色が出まくりで、少し異質な感じです。

くらえええぇぇぇぇぇとかうおおおぉぉぉぉぉぉって叫ぶような熱血な子じゃなかっただろ、コタローさんよ・・・
もろもろの設定なんかもガン無視だったし。。

それでも個別序盤のホラー的展開はすごく面白かったし、批判も少なくないいみたいですがシナリオ単品で見ると結構楽しめました。
そして上にも書きましたが縦横無尽に奮戦する静流が無駄にカッコいいです。






物語の鍵となる少女。

Moon編では最初は全く認識もしていなかった瑚太朗とコーヒーから始まった交流で少しずつ心を開いていく様子がとても丁寧に描写されており、最終的に絆を感じる頃にはすごく可愛く、愛おしい存在になってました。

またおっぱいEDでは彼女の全く違った姿(本人曰く本来の姿?)が見れますので、ぜひそちらもどうぞw


謎の少女、篝。物語の鍵となる彼女の正体は――。


吉野 晴彦

おおおー!YO-SHI-NO!!

自称 「狂犬」 というアウトロー。
孤独を愛し、クールを気取るがいまいち演じきれない三枚目。

厨二全力全開で痛々しい子ですが、瑚太朗にいじられることでかつてないネタキャラに変貌しますw

それでいて瑚太朗自身の甘えを見抜いていたり、要所で助けてくれたりと実はかなり好漢だったりします。

シナリオ中ではそれほど核心に触れることがなく、結果として瑚太朗が追い求めていた日常の象徴となっている節があり、展開めまぐるしい終盤に登場すると思わずほっとします。
特にMoon編や朱音√で登場した時は嬉しかったですね。





鳳 咲夜

ちはやの兄的存在で完全無欠の執事。

初対面時からの印象が最悪で、序盤は単にうっとおしいだけのキャラですが、終盤に行くにしたがってその印象は180度変わります。

とにかく圧倒的なまでの壮絶な生き様と、憎まれ口をたたきながらも手を貸してくれる姿はもうカッコいいの一言に尽きます
少し複雑な瑚太朗への思いを知ってしまうと憎まれ口も実は優しさのうちだったのかとすら思えてきますね。

傍にいてくれるだけで心強い、ヒロインを除けば間違いなく一番好きなキャラです。


これだけ後姿がカッコいい漢も少ないものです。




今宮、西九条、江坂

出会いから意味深なことを言っていた彼らですが、伏線が明かされた時には衝撃でした。

江坂さんの終盤のシーンは熱くも心痛む名シーンだったと思います。
ただGAGを言っていて印象が強すぎるので、戦いで活躍する姿がもっと見たかったですねw









主人公:8


天王寺 瑚太朗


しょっぱなから吉野との決闘の約束を忘れるなど、ちゃらけた面白主人公かと思いきや、終盤に行くにしたがってその本領を発揮していきます。

始めは失った日常を取り戻すため、篝のため、そして滅びを避けるためにわが身を犠牲にしつつも孤独な戦いに一人で立ち向かう姿は本当にカッコいいです。

結果的に人類に新たな道を示した彼でしたが、人類を救うなんて思いがあったわけでは決してなく。
その行動原理となったのは彼女の望みをかなえたいという一人の人間の少年としての純粋な思いでした。

そのためにどこまでも熱く、強くなれる、素晴らしい主人公だったと思います。



音楽:9

流石はkey!と言いたくなるほどのクオリティ。
特にOP、EDを始めとするヴォーカルのクオリティは半端ないです。

ムービーとともにさまざまなものを感じさせるPhilosophyz、そしてまさかのサイラバ起用で作中のインストverでも十分に熱いRewrite。

静流EDで流れる恋文なんてもう反則級ですし、真EDのCANOEも今までの物語の収束を飾るにふさわしい余韻に浸ることのできる名曲です。

BGMの中では旅、深層森林、散花、刈り、Scene shift thereや辺りはクリア後も何度も聞いてしまいます。


絵:8

いたる氏の絵ですが、ちょっと変わった?
相変わらず独特の絵ですが、それでいて今風のキャラっぽい魅力があります。
イベントCGや背景の塗りなんかも綺麗でグッド。


難点を挙げるとすればもう少し枚数がほしかったかなぁ・・・と。
100枚超なので決して少ないどころか多めなわけですが、終盤盛り上がるシーンでCGが無いの?と思った箇所がいくつかありました。
やはり絵があるだけで感動の大きさは変わってくると思えるだけに残念。

ルイスやゲンさんといったサブキャラにももう少し立ち絵があってもよかったかな。




静流タソぶっひいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ(殴



システム他:8

ワイド対応、スキップも早く、音声途中カットなしもできるとプレイに十分なシステムを有しています。

エフェクトも凝っているものが多く、戦闘などは迫力がすごかったですね。

またTerra編での選択肢の使い方は非常に面白く、それが何によるものか気づいたときは胸が熱くなりました。
あとから選び直してやり直す2週目があるのかなぁ、なんて勝手に思ってしまったりもしましたが

若干重めでスペックを要するみたいですが、自分は快適に行けました。

ただマッピーは面白かったですが回収作業は苦痛でしかなかったですね。。


総評:90

もしもkeyが田中ロミオの「最果てのイマ」を作ったら・・・なんて某小説のタイトルのような言葉が浮かびましたw

世界設定をロミオが担当していることもあり、当然といえば当然なのですが、ロミオ氏のカラーが強く出ていましたね。
雰囲気こそ全く違うのですが、話的にはなんとなく「最果てのイマ」を想起させられた気がします。

麻枝氏が抜けて誰もが心配した新生keyの旗印として期待されていたこのRewrite。

個性派ライター2人のためにかつてのkeyからは一見乖離して見えますが、真EDなんかはすごくkey作品という感じがしますし、おっぱいEDを見ているとその雰囲気は十分に感じられたと思います。

そういった意味でかつてのブランドイメージもRewriteすることができたのではないでしょうか。
とりあえず都乃河もっと頑張れ!


オススメ攻略順は小鳥→静流→ちはや→朱音。

おそらくこの順で戦闘の規模が増していくと思います。
少なくともとりあえず小鳥を一番最初にやれば問題ないかと

ルチアシナリオは浮いているのでお好きな場所に入れてあげてください


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