ゆきいろ (ねこねこソフト)


総合:66   シナリオ:7 テキスト:6 キャラ:7 音楽:8 絵:6 システム:7  お気に入り:
叶丸 深雪


もしボタン一つでも掛け違えたならば

この不思議な未来にはならなかっただろう・・・






シナリオ:7


ねーこねこソフト作品と言えば幼少時の淡い思い出に日常でのさりげないやりとり、そしてほんのちょっとの不思議を織り交ぜて`ねこっぽい`雰囲気が随所に出ているんですが、本作でもその空気感は感じ取れました。

「みずいろ」「ラムネ」等と同じように、伝統の?「みずいろシステム」によって冒頭の幼少期の過ごし方次第で本編である現代のヒロインとの関係や性格までもが大きく変わってきます。
このシステム自体は「エロゲの各ヒロインのルートってぶっちゃけ全部パラレルワールドだよね」と堂々と開き直っている感じがして自分は好きだったのですが、今作ではそれが生かされていたか、と聞かれると少し悩むところです。
過去編での選択肢はどれもどっちを選ぼうがなんら変わらないようなものが多く、主人公のちょっとした選択の違いが将来に大きな変化をもたらすという説得力が過去作に比べ欠けていた気がしました。
(昔もこんなものだっけ?単に過去作が思い出補正で美化されているだけだろうか・・・)


シナリオについてはメインヒロインであるマルルートは普通に良作それと樹奈ルートが(好き嫌いはともかく)それに次ぎ。残り翠子先輩が普通、北斗3姉妹とあきらは…ねw

この各ヒロインのルートですが、それぞれのルートでのキャラの性格が違う事も手伝ってライターによる力量、カラーの違いが如実に出ていた気がします。
もう「同一のキャラクターと世界観でライターそれぞれ適当に作品作ってみました」と言われても信じてしまいそうなほど。なんだかなぁ・・・。

マルルートはともさんらしくいつものねこっぽさが出てるんですが一方で早狩さんが描く樹奈ルートはテキストもキャラの性格も違い過ぎて浮いちゃってる感半端ないですねw

あとえちぃに関してですが各キャラ2回程度で尺も薄いと、全くと言っていいほど期待できません。まぁそれ目当てでねこねこ買う人はいないでしょうけどw

プレイ時間は約15時間くらい。
オススメ攻略順ですが、必ずマルを最後に回しましょう。他のシナリオとは一線を画す出来なため最初にやってしまうと残りのルートがしょんぼりしてしまいそうですw







キャラ:7



叶丸 深雪

幼なじみであり義妹という美味しい素敵属性を2つも持つというぽんこつ少女。ただしぽんこつ成分は控え目。愛称はマル。
可愛くて性格良いだけじゃなくノリツッコミから主人公の無茶振りまでこなす素敵な子です。私にもこんな妹下さい。
基本人見知りだけど身内には割とノリが良い、というのは自分の性格に通じるものがあって無駄に共感しちゃったりしましたw

最初から主人公への好意MAXなせいもあってマルの可愛さは冒頭から半端じゃないですね。
謎のテンションで繰り広げられる主人公との息の合った夫婦漫才にはニヤニヤさせられますw
まさか開始5分(最初に起こしにくるシーン))で萌えさせられるとは・・・マル、恐ろしい子!
ちなみに開始15分でセーブ1ページ分埋めちゃいましたよ、HAHAHA!

そんな彼女のシナリオは幼なじみから義妹、そして恋人へという立場の変化が非常に丁寧に描かれており、また終盤のとある出来事によって二人の絆を再確認する暖かいお話になってます。
最後は演出の巧さもあってウルッと来てしまいましたね。

唯一ストーリーに不思議要素が絡んでくるんですが、みずいろの日和とかにしてもねこの不思議要素って何故か普通に受け入れられちゃうんですよね。ともさんの書き方の上手さゆえでしょうか。

あとマルルートでは他のキャラクターたちがキャラが立っていた、というか各々のシナリオ以上にキャラが持つ魅力が出ていたような気がしますw
特に樹奈は色々と厚遇されていて個人的には彼女自身の個別よりこっちの樹奈野方が断然好きだったり。いいのかこれ・・・



もう冒頭から可愛すぎてあwせdrftgyふじこlp;@:「




神立 樹奈

マルの親友で幼なじみその2.
中身は無駄に元気でやかましい、おバカな親友ポジション。

個別では普段は一見明るくお気楽に見える彼女だけど実は・・・という内面に踏み込んだ話になっています。
主人公への想いとマルとの約束の間でで揺れる心や主人公とマル、どちらも好きだからこそ苦悩する彼女の姿が上手く描かれていたと思います。

ただマルとの約束に操を立てようとするあまり主人公と結ばれるまでにいったいどんな波乱があるのかなーと楽しみにしていたら・・・以下ネタバレにつき反転

散々思い悩んでいた割に南国の陽気に当てられたのか流されたように関係を持っちゃいます。ええっそんな簡単に結ばれちゃうの!?10年来の想いはどうしたとツッコミまくりでしたよw
それはまだ良いとしても結局マルには自分から報告できず終いだし、何より自分の勝手な想いで一方的に主人公を振ろうとするなど私には単に身勝手な女と映ってしまいました。
義理立ては結構ですがそれに付き合わされる主人公はたまったものじゃありません


反転ここまで

まぁ早狩さんなのでこれがねこ作品でなかったならそれほど気にはならなかったと思いますが正直この作品の空気には似つかわしくなかったと思います。
切り口自体はすごく面白かったんですけどね。

他のルートでのはじけっぷりや弄られっぷりを見ているとそっちの彼女とのお話も見たかったなーなんて思ったり。
…で結局ぺろぺろしますっていったい何のことなんですかね?w




緑川 翠子

一つ上の先輩。基本的に面倒見のいいお姉さん的存在なのですが奔放な性格でエッチないたずらをしかけてきたりセクハラして来たりしますw
主人公がいてもお構いなしに裸ワイシャツってのはやはりイイですね!(何

個別はかつて主人公が引っ越した際に離れ離れになった経験があるせいで遠距離恋愛に悩むお話。
シナリオ的にはこれぞザ・エロゲーというくらいありふれたものですがコンパクトに上手くまとまっていた気はします。

ちなみにその名のせいで?作る料理をことごとく緑色にしてしまう奇特な才能の持ち主だったりしますがCGもないし意外と印象は薄いですね。



宮沢 あきら

主人公の実妹で基本クールな女の子。
と言ってもキャラクターがいまいち定まってないのか一部シナリオでは性格がわけわからないことにー(棒
翠子先輩の従者として調教されてしまった姿が無駄に頭に残ってますw

実妹でクーデレという事で密かにシナリオを期待していたのですが・・・うーむ。。
主人公に気を引こうとマルや樹奈のことを研究して真似をする姿は微笑ましかったんですが、主人公に惹かれていく描写にイマイチ欠けるのと、
実妹シナリオには必須と言っても過言ではない実の兄妹で付き合う事への背徳感や葛藤というものが一切抜け落ちているのが致命的でした。
当然のようにに付き合い始める二人を見てプレイ中に思わず「あきらって義妹だっけ?」とホームページを見直したとかなんとかw

まぁ扱いづらそうなキャラクターだしライターさんは新人さんなので仕方ないかとは思いますが




普通に可愛いいと思ったシーンもいくつかあったんですけどね・・・




北斗ちとせ

北斗3姉妹の真ん中。
過去編での絡みが無いせいで感情移入しにくい不憫な子です。

個別もちょっとしたすれ違いがあるんですがそこに理不尽に絡んでくる三女がウザくてなんともかんとも・・・。
マルルートでの扱いの雑さなど完全に脇役のおまけルートという感じになっていますねw






主人公:7


宮沢 健治


今回の健ちゃんもいつも以上にごく平凡な主人公でしたね。

ねこの主人公はいつも平凡ながらも不思議とキャラが立っているんですが今回は幼少期と翠子先輩ルートで見せた行動力以外にはほとんど記憶に残ってませんw



音楽:9

音声面ではさすがのねこねこ!

その音へのこだわりがかつてブランド解散の遠因となった?にもかかわらずテーマソングはもちろんBGMも相変わらずのクオリティの高さ。しかも音が良い!

BGMはそのどれもが雪の名前を冠するだけあって雪がしんしんと降り積もるような様子が表現されており冬の空気を出すのに貢献しています。
個人的には日常曲の「朝雪」「優雪」あたりがお気に入り。
ヴォーカルは3曲。中でもOPの「六花のうた」と「星雪と踊る」は素晴らしいです。最初OPが英語だったときはちょっとびっくりしましたがムービーと相まってゆきいろの世界がよく表現されていると思います。
「星雪と踊る」は演出の巧さもあってかなり印象的な曲になってますね。

さらに声優さんも
微ぽんこつ幼なじみ・叶丸 深雪 (CV:安玖深音)
腐れ縁のクラスメイト・神立 樹奈(CV:雪都さお梨)
陽気で明るい先輩・緑川 翠子(CV:遠野そよぎ)
クーデレ妹・宮沢 あきら(CV:夏野こおり)

とぼくがわたしが考えた最強のエロゲー声優布陣状態もう文句のつけようがないですね!!




絵:6

複数原画、というよりもほぼキャラごとに絵師さんが違います。
さらには幼少期も別の人が描いてたり、塗り方もキャラによって全く異なっていたりとそもそも統一する気すら感じられないのは残念なところ。
キャラクターのシナリオごとの性格の違いに違和感を感じた一因はこれのせいでしょうね。

CG枚数はそれほど不足を感じませんでした。でも背景がいつもより適当に見えるのは気のせいでしょうか。

個人的にはあきのん絵がもっと見たかった・・・。。


システム他:7

スカーレットの頃からなんら変わらない普通なシステムですが、エフェクト面では降りしきる雪や吐き出す白い息、それに瞬きが初実装されてましたがこれは良かったですね。
キャラの登場時とかほんのちょっとあるだけなんですが、それだけでもちょっと表情豊かになったように感じます。

総評:66


柔らかい空気感に心暖まるシナリオなどねこらしさは一応健在なようで一安心。
ほとんどごく平凡な学園物なのに、どこか心惹かれる不思議な雰囲気に定評のあるいつものねこねこ作品でしたが、今作はどちらかというと全体的に雑な作りだったような印象。
シナリオや絵の統一感のなさに加え、マル、翠子先輩ルート以外でのねこらしさの欠如などなど・・・。

また過去作品が良すぎるせいもあるのですが、相対的に進歩していないというか、なんというか3,4年前のエロゲをやってるような気がするんですよね。
よく言えば昔懐かしい、悪く言えば古臭い。もちろんねこに最新の流行に乗った作品や目新しさを求めているわけではありませんが(それならコットン作品をやればいい)どうも旧態依然としたまま凝り固まってるように感じました。
ねこでおなじみのオマケもなかった事とか考えるとあまり余裕がないのかな・・・。

総合してみるとどちらかというと正直しょんぼりな出来でした。
私としては昔から特に好きなメーカーさんだけに、またかつての栄光を取り戻すべく頑張ってほしいところですね
朱やスカーレットのような非日常ラインに期待!



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